こんにちは。今日は少し趣を変えて「詩」をご紹介しますね。「小児歯科医 こころの声」の中にこころの赴くままに作詞した章があります。その中から二編の「詩」をピンクの本から選びました。車のハンドルに遊びがあるようにこころに余白があると「詩」が生まれます。

戻りたい瞬間
僕には戻りたい瞬間がある。
一日の診療を終え、自転車の前かごに空の弁当箱をひょいと乗せ家路につく。まっすぐ続く一本道の舗道をほどなく行くと、少しずつ近づく人影がふたつ。いや正確にはみっつ。一人をおんぶ紐で背にゆわえもう一人を左手に引きながらゆっくりとこちらに歩みを進めてくる。
互いに近づくにつれその人影は大きくなり、はっきりと姿のわかる距離になる。こちらの姿に気付くと傍らの小さな人影は、満面の笑顔でこちらに向かってトコトコと危なっかしい足取りで歩みを速めてきた。
互いの距離が縮まった。
傍らの小さな影は「とーしゃん」と言いながら腕の中に飛び込んできた。三歳になろうかという娘を肩車し、背におんぶされている 坊ずの頭をひと撫でし、「ただいま」と一言。
今、ひとつ願いが叶うとしたら、僕はこの瞬間に戻りたいと思う。

「ばね」
自分にも、強い「ばね」があった。
悔しさを「ばね」に一生懸命勉強した。
辛さを「ばね」にこころ優しくもなれた。
貧しさを「ばね」にがむしゃらに働いた。
悲しさを「ばね」にこころ強くありたいと思った。
今、こころの「ばね」をもう一度縮めてみようと思っている。








