こんにちは！
名古屋市天白区の小児・矯正歯科専門ほりえこども歯科クリニックの堀江将史です。
今日は「マウスピース矯正のみで治すには難しいケース」についてお話をしたいと思います。
ワイヤー矯正にとって代わろうとしているこのマウスピース矯正。
現在では、ほとんどの症例で適応されています。
マウスピース矯正で治せないものはないという先生もいます。
しかし、どうしてもマウスピース矯正で治せないものがあります。
治せないというよりはワイヤー矯正のほうが早く、治しやすいものです。
それは以下の５つ
①著しい捻転歯
②牽引が必要な埋伏歯
③骨格に対する矯正治療
④大臼歯の大きな移動が必要な治療
⑤装置の使用に協力的では無い患者さん
難しい専門用語も入っているのでかみ砕いてお話をしますね。
①著しい捻転歯
捻転とは捻じれている歯です。
マウスピース矯正はマウスピースで歯を覆うことで把持しますが、回転力は伝わりにくいといわれています。
そのため、ある一定以上のねじれがある歯にはワイヤー矯正＋ゴムを用います。
②牽引が必要な埋伏歯
埋伏歯とは骨の中で歯の向きが悪く、理想の位置に歯が出てこないまま埋まってしまうことです。
牽引とはそれを引っ張り出すことをいいます。
このレントゲンの患者さんは右上の３番が埋伏しました。
マウスピース矯正では歯を引っ張り出すことはできないので、ワイヤー矯正を用いました。
③骨格に対する矯正治療
顎矯正治療といわれているものです。例えば著しい受け口をマウスピース矯正単体で治すことはできません。
マウスピース矯正では歯を動かすことが主体となるため、骨格を改善することは難しいのです。
そして骨格の改善を望む場合は、手術が必要となることが多いです。
そのとき併用するものはマウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正がほとんどです。
④大臼歯の大きな移動が必要な場合
マウスピース矯正は、歯の上のほう（歯冠といいます）をつかんで動かします。
しかし顎に埋まっている根っこ（歯根といいます）がうまくついてこず、歯が倒れてしまうことがあります。
大臼歯とは前から６、７、８番に位置する根っこがしっかりとした歯で、特に倒れやすいです。
これらを大きく移動させる治療計画を考える場合にはワイヤー矯正を検討します。
写真は右の下の大臼歯を前に移動させる量が大きかったのでワイヤ－矯正を選択しています。
※上顎はインビザラインを用いたハイブリット矯正です。
⑤装置の使用に協力的では無い患者さん
マウスピース矯正は付け外しができ、見た目もきれいなことから非常に始めやすい矯正です。
一方で、患者さん本人の意識が低いとすぐに使用時間が減り、治療効果が表れにくくなります。
そのため、当院でも本人の矯正治療に対するモチベーションを下げないように日々工夫をしています。
本人が本当に矯正治療を頑張れるのかをしっかり話し合ってから、矯正治療を始めましょうね。
以上がマウスピース矯正のみでは治すことが難しいケースです。
当院では現在９割近くの子供たちがこのマウスピース矯正（インビザライン）を選択していますが、その判断をしっかりすることが矯正医には大切だと考えます。
全員にマウスピース矯正を勧めるわけではありません。
また③のように成長期終了してから治療を行うほうが良いと考え、成人矯正を主に行っている先生に紹介することもあります。
お子さんの矯正治療でお悩みのある方はぜひ当院の矯正相談にお越しください。
ほりえこども歯科クリニック
堀江将史
