天白区・相生山駅近くの歯科医院の医院ブログ

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「ありがたく嫁のこころをもらう膳」

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今日はまだ皆さんにご紹介していない青本「別冊 小児歯科医こころの声」からです。

母は私が還暦、厄年の年に亡くなりました。八十八歳米寿の祝いをしたばかりでした。

その時の悲しみや苦悩を記したのが青本です。

その中から二編をご紹介しますね。

「おぶくさんの湯気」

仏様にお供えするご飯の事をお仏飯と言うことを知った。御仏飯のことをおぶくさんと言っていた。仏壇に供えられたおぶくさんは少しずつその温もりを失い、冷たいご飯となって帰ってくる。

子どもの頃、私はその形を残すおぶくさんが茶碗にもられることを嫌った。仏様にお供えされたおさがりなのになんと罰当たりの事か。

寒さ厳しい2月の朝、おぶくさんは炊き立てのほやほや。おぶくさんは湯気を立てていた。仏様も、冷えたおぶくさんは嫌だよね。暖かい湯気の消えぬうち、急ぎ階段を駆け下り、仏壇にまだ湯気が立ち上る温もりのあるおぶくさんを供えた。

 おぶくさんも人のこころも温もりが大切なんだよと御先祖様に教えられた。

「次は、あなたの番ですよ」

お寺様はこういわれた。順送りからいうとまさにその言葉通りだ。墓誌の表側の最後の行には母の法名が刻まれた。自分は裏側だね。代々継がれていよいよ次は僕の番だ。そう言われて今まで意識した事もない「死」を初めて意識した。

還暦を過ぎ、平均寿命を80歳とすると、生きて来た時間より残された時間の方がはるかに短い。同い年の友人は、こんなことを言った。「定年退職したのにまだ働くつもりか?働いている場合ではないぞ。残された時間はもう少ない」と。

自分にその言葉を置き換えてみた。大学で6年間歯学を学び、卒後9年勤務、開業して早や26年。もうそろそろ自分のために時間を使っても罰はあたるまい。一瞬一時を大切に生きようと思い改めるが、また一日、くたくたした日を過ごしてしまった。後20年あるとして健康寿命はいくばくか?漫然として生きてきたが、残された時間を意識したその時から明らかに焦りに変わった自分がいる。今年、私は父が亡くなった「古希」を迎える。今日も生かされていることに感謝の日々である。

 

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